【インタビュー】鰻本来の美味しさを全国の皆様に届けたい【楠田淡水有限会社】
2020/12/07 00:00
今回お話を伺うのは、鹿児島県志布志市で鰻の養殖を専門で行っている「楠田淡水有限会社」代表の 楠田 和也 さん、代表取締役専務の 楠田 綾子 さん。365日24時間、徹底した水質管理で鰻を養殖しており、養殖した鰻は、県内外の問屋に卸している他、ふるさと納税の返礼品としても取り扱われています。

代表取締役 楠田 和也 氏

次の世代に繋げていく養鰻事業

-- 創業の経緯と事業内容について教えてください。 楠田専務:創業以前は、当時の代表が親・兄弟との共同経営で水産業を行っており、「ちりめん」を取り扱う傍らで、鰻の養殖を手掛けていました。 その後、自分の子や孫世代まで事業を残していくことを考え、養殖分野を独立。1988年に現在の「楠田淡水」を創立しました。創立後は1年かけて養殖に適した土地を探し、現在の場所に移転しました。 鰻の養殖は12月から3月に稚魚を仕入れて育てていき、餌やりの他に養鰻所の清掃や設備の管理・調整を中心に行います。養殖した鰻は、一度加工専門の業者に出荷した後、再度弊社にて袋詰めを行っているのですが、真空包装をする際に鰻の厚みが潰れてしまわないよう、全て手作業で行っています。 通常ですと、出荷した鰻は他の養鰻所の鰻と混ざり、全て鹿児島大隅産として出荷されてしまうのですが、自社でこだわりを持って育てた鰻を全国の皆様に食べて貰えるよう、独自のブランドで販売しています。 -- こだわりを教えてください。 楠田代表:とにかく水質管理にこだわっています。養殖には地下から汲み上げた水を使っているのですが、多い日は1日に5回水質検査を行い、常に水の変化を追いかけています。養殖に使った水は、鰻出荷後に全て排水し、その都度、養殖池を綺麗に清掃・消毒するようにしています。鰻の美味しさは育つ環境によって大きく左右されるので、鰻を育てているというよりは、水を育てている感覚に近いです。 鰻に与えている餌も、先代社長が飼料メーカーと共同で独自開発した餌を使用しており、油が乗った旨味のある鰻に育ちます。また、餌と一緒に与えている栄養分も常に改良しています。人間と同じで、鰻が吸収できる栄養分は限られているので、大切な栄養が吸収されずにそのまま排出されてしまわないよう常に気を配っています。

代表取締役専務 楠田 綾子 氏

-- おすすめの商品を教えてください。 楠田専務:自信を持って「白焼き」をおすすめします。皆様がよく食べられるタレのかかった鰻と違い、白焼きは鰻本来の味を感じることができます。水にこだわっている分臭みが無く、本来であれば出荷後に何日も水打ちしないと臭みが抜けないのですが、弊社の鰻は出荷後の翌日から加工することができます。グリルで焼いて、塩胡椒や柚子胡椒で食べて貰うのがおすすめです。 -- 今後の展望についてお聞かせください。 楠田専務:養鰻所近くの土地を買い取ったので、土地を開拓して池を増設し、より効率よく飼育できる環境にしていきたいです。楠田淡水は、とにかく鰻の美味しさと品質を追求しています。鰻本来の美味しさを伝えることによって、鰻が苦手な人でも好きになって貰えればと思います。