テイクアウト販売を始めるなら知っておくべき7つのこと!
2020/03/01 00:00
こんにちは!食材デポ編集部の泉山です。 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、4月に全国的に緊急事態宣言が出され学校の休校や仕事のテレワーク化などが進み、不要不急の外出を控える動きが高まりました。それにより主に飲食業会は過去に類をみないほどの苦境に立たされています。そんな状況におかされても懸命に売上げを確保すべく、現在多くの飲食店がテイクアウト販売へとシフトして頑張っています。私がこれまでに飲食店の方々からいただいたご相談なども踏まえて、テイクアウト販売について知っておくべき7つの要素をご紹介いたします。

1 テイクアウト販売を始めるのに必要な許可

そもそも飲食店営業許可を取得している店舗が、既存のメニューをテイクアウト販売するにあたっては、特別に許可を取る必要はありません。 しかし、許認可でも注意しないければならない4つのポイントがあります。

Point.1 調理場所と販売場所が異なる場合

仮にキッチンカーなどで移動販売を始めるときなど、料理の調理場所と販売場所が異なる場合は、それぞれの場所ごとに許認可を取る必要があります。また、取扱うメニューでも許認可が異なりますので、出店予定地を所管する保健所へ一度ご相談してください。
●調理有りの主食(米類・麺類など)の場合 飲食店営業許可
●調理有りの菓子(洋菓子・和菓子・パン類など)の場合 菓子製造業許可
●調理有りの飲料(コーヒー・ジュース・お茶など)の場合 喫茶店営業許可
●調理なしの主食(包装された弁当・惣菜・パン類など)の場合 飲食店営業許可

Point.2 メニュー内容で異なる許可

飲食店営業許可だけでは、テイクアウト販売が認められていないメニューについてもそれぞれに必要な許可を解説いたします。
●パン・菓子類などのテイクアウト販売には 菓子製造業許可
●食肉製品などのテイクアウト販売には 食肉製品製造業許可
●冷凍食品などのテイクアウト販売には 食品の冷凍又は冷蔵業許可
●ソース類そのものを商品とするテイクアウト販売には ソース類製造業許可

Point.3 アルコール類の取り扱い

普段飲食店で出しているアルコールドリンクであってもテイクアウト販売の場合は、酒税法で制限されています。 酒類販売業免許が必要です。 ※しかしこの度、国税庁が新型コロナウイルスの感染拡大で営業に大きな影響を受けている飲食店に対し、特例としてお酒を料理と一緒にテイクアウト販売できるよう、飲食店が資金確保のために在庫のアルコール類を消費者に販売することを認める「料食店等期限付酒類小売業免許」を付与する措置がとられることになりました。概要は以下の通りです。(国税庁ウェブサイトの措置の概要から引用しています。) 【措置の概要】 〇 料飲店等が、新型コロナウイルス感染症に基因して、在庫酒類の持ち帰り用販売等により資金確保を図るものについて、迅速な手続で期限付酒類小売業免許を付与します。 〇 令和2年6月30日(火)までに提出のあった免許申請書に限ります。 〇 免許には、免許付与から6か月間の期限が付されます。 〇 自治体等から各種の要請等がある場合、これに従うことを条件とします。  (注) 1 今般の期限付酒類小売業免許についても、一般の酒類小売業免許と同様に、酒類の仕入れ、販売について帳簿に記帳する義務が課されるほか、販売数量の    報告等を行う必要があります。 2 今般の期限付酒類小売業免許を付与された料飲店等は、既存の取引先小売業者との取引が引き続き可能です。 3 今般の期限付酒類小売業免許で販売できる酒類は、既存の在庫をはじめ既存の取引先からの仕入れの販売に限ります。 4 今般の期限付酒類小売業免許を付与された料飲店等が、料理に併せるなどして酒類を宅配することは可能ですが、インターネット等を利用して、2都道府    県以上の広範な地域の消費者等を対象として酒類を販売することはできません。(別途、通信販売酒類小売業免許を取得する必要があります。) 5 今般の期限付酒類小売業免許を取得する場合においても、販売場ごとに、酒類販売管理者を選任する必要があります。 ※酒類販売管理者は、法令を厳守して販売が行えるよう管理者が従業員を指導する役割で、取得時に初回研修が行われ取得後も3年ごとに定期研修を受ける必要があります。研修日程については、国税庁のホームページ「酒類販売管理研修実施団体の指定状況等及び研修実施予定について」より各地域の情報をご確認ください。

Point.4 新たな調理場所や販売場所を設ける場合

もともと営業許可を受けている店舗であっても、店舗内に新たな調理場などを設けたり、新しい事業を始める場合、すでに受けている営業許可とは別の種類の営業許可が必要になる場合があります。 営業許可を受けた保健所に確認してみましょう。

2 食品表示の義務はありません

飲食店でのテイクアウト販売の場合、食品の内容についてお客様に直接説明ができるので、基本的に食品表示の義務はないものとされています。 ※万が一の食中毒やアレルギーをさけるため、可能な範囲で表示したり、お客様に伝えたほうが良い場合もあります。 消費期限や保存方法についても表示の義務はありませんが、「いついつまでにお召し上がりください」や「必ず冷蔵庫で保存してください」などといったお声がけの徹底は必要です。また、商品にアレルギー物質とされる特定原材料の何が含まれているのかも必ず把握しておき、アレルギーを気にされるお客さまの問いに答えられるようにしておきましょう。

3 衛生面には十分注意を!

テイクアウトの商品は、お客さまに渡した後の商品の保存状態や、いつになったら召し上がるのかをお店側でコントロールすることができないので、日頃店内で提供している商品と比べてかなり大きな食中毒のリスクがあることを十分に理解しておく必要があります。万が一、テイクアウトの商品で食中毒が発生してしまうと、お店の営業が停止してしまう可能性がある高いです。そういったリスクも踏まえ食中毒に対し、より一層の注意を払い衛生面には気をつけなければなりません。

基本の手洗いが大切です

●キッチンを離れたらその都度。 ●メニューの盛り付け前。 ●次の調理に入る前。

衛生的な身だしなみ

●髪の毛が料理に入らないように、帽子などはしっかりかぶる。 ●唾が入らないようマスクを着用。 ●菌が入りやすい爪はこまめに切る。 ●異物混入を防ぐためアクセサリー類は身にはつけない。 ●作業着は清潔に保つこと。

調理場は常に清潔に

調理をする上で大前提ともいえることなので今更いうまでもありませんが、調理場・調理用具・冷蔵庫・保管庫などの整理整頓と清掃や消毒を場所毎に時間を決めて行うことが大切です。

商品カテゴリーごとに注意する予防策が異なります!

●刺身やサラダなどの生ものは非加熱のため、そもそも滅菌することができません。そのため調理前からお渡しするまで菌をつけない対策が必要です。 ●揚げ物や炒め物などは、加熱を行うため滅菌できます。しかしゆっくり冷めてくると菌が増殖してきますのでお渡しする直前に調理をするといいです。 ●スープやカレーなどの煮物は、加熱を行うため滅菌できます。その後、急速冷却を行うことで菌を増殖させない対策を取ることができます。

食品トレーの取り扱い

メニュー毎の機能性が必要なのは、もちろんのこと。商品が溢れることなく、安心してお客様が持ち運べるものを選びましょう。 ※持ち運び際に料理が溢れる事例が意外と多いようです。

4 食品トレーの選び方

テイクアウトに欠かせない食品トレーは、必ずメニューに合わせた容器を準備しましょう。

中身が溢れないように持ち運べるもの

持ち運びの際に最も避けたいのは、商品が溢れてしまうというトラブルです。特に汁が出るメニューを扱う場合は要注意です。 料理に合わせて、防汁・耐水・耐油・耐熱のものを選び事前に、持てないほど熱すぎないかチェックしておきましょう。

盛り付けが崩れないように注意

自信を持って美味しい料理を提供しても、お客さまに届く際に料理が寄ったりして盛り付けがくずれると見た目だけで味が半減してしまうものです。 トレーは料理の量に合わせたもので、複数のメニューを詰め合わせるものは仕切りのついたものを選ぶことをオススメします。

廃棄のことも考えて

家庭や職場などで召しあがった後に、かたづけなくてはなりません。なるべく手軽に分別しやすくゴミとしてもコンパクトにまとまるものを選ぶ配慮が環境へも優しい取り組みに繋がります。

その他必要なものの準備もお忘れなく

テイクアウトではお持ち帰りいただくためのビニール袋と、どこでも召しあがれるようにおしぼり・わりばし・スプーン・フォークなどの食器類もご準備しておいてください。

5 お客さまへの告知

テイクアウト販売の準備が整い、さあ始めよう!と思ってもお客様に告知されていなければご注文が増えません。 お店にできる規模で、お客さまへ告知を行っていきましょう。店内外でのポップでアピールや、ウェブサイト・SNSなどインターネットでの告知も効果的です。

店内外POP

お店を利用する人・歩行者・近隣住民の方に気付いて興味を持ってもらい、購買に繋がる可能性が高いお客様にアピールできることが効果的です。

ポスティング

近隣住民やオフィスで働く人に向けて、ポスティングすると有効かと思われます。

インターネット(SNSなど)

より広くお客さまに知ってもらうためには、インターネットの活用が欠かせないでしょう。 ●Facebook・Twitter・LINE@などのSNSを活用してテイクアウトを始めたことをお知らせしましょう。 ●Googleマイビジネスを更新して、Googleマップのテイクアウトを開いたときにご自分のお店も表示されるように設定しておきましょう。 ●テイクアウト専門サイトやアプリに登録しておきましょう。(LINEポケオ・楽天テイクアウト・PICKS・menu・食べログなどなど)

6 消費税率は8%

テイクアウトの場合、軽減税率の対象となるため消費税は8%となります。(アルコール類は除きます。) 通常営業と併行して営業を行う場合には、確定申告の際に分からなくなってしまい手続きが滞る可能性がありますので、年度毎の会計処理を滞らせないためにも、確定申告しやすい状態でそれぞれ分けて帳簿を準備しておきましょう。

7 その他に大切なこと

最後になりましたが、他にも大切と思われる3点についてお伝えしておきたいと思います。

個人情報の管理

商品配達も行う場合には、お客様の氏名・電話番号・住所をお聞きします。個人情報保護法の観点からも、厳重に管理してください。

賠償責任保険

常に細心の注意をはらっていても、食中毒のリスクがゼロとは限りません。万が一に備えて賠償責任保険(PL保険)への加入も検討してみましょう。 ※食中毒が発生すると、高額な損害賠償金の支払い及び、保健所から営業停止処分が下されます。 【賠償責任保険の主な4つの内容】 ●お客さまへの損害賠償金 ●さらなる損害の発生や拡大を防ぐための損害防止費用 ●他にも責任を負うべきものがいる場合に賠償を求める費用(権利保全行使費用) ●争訟費用

始める前に必ず保健所に相談してください!

とにもかくにも、保健所には誰よりも詳しい食品衛生の専門家が揃っています。現在侵されている飲食店の立場もよく理解されていますので、食品衛生指導・営業許可申請・その他食品衛生に関わる全てのことに関して、必ず一度管轄の保健所に相談してください。